よくあるご質問にお答えしておきたいと思います。
豪でカウンセリングができる資格として、主にサイコロジストとカウンセラーがあります。私は豪のサイコロジストで、日本の臨床心理士です。
サイコロジストになるには大学で心理学を専攻し、その後大学院のマスター・コースや指定の研修を行ったことを認定されて、州のHealth Boardに資格登録され、日本では資格試験に合格する必要があります。合計5~7年かかる気の長いコースです。
カウンセラーは豪では実はたった1年間の勉強で資格がとれてしまいます。しかし日本にはカウンセラーと言う資格自体が存在しません。日本でカウンセリングが正式にできるのは臨床心理士だけです。つまり、なるのに7年以上かかるサイコロジストしか資格としてはないんですね。(他に短期間の研修だけでなれるNPO法人認定カウンセラーなるものもあったりしますが、それは資格としては心理臨床業界で一切認められていないと言わざるを得ません)。
豪ではサイコロジストもカウンセラーも両者ともカウンセリングができますが、なれるまでの勉強量と年月が明らかに示していると思いますが、サイコロジストはより上位の資格として位置づけられていて、行える守備範囲が広いです。心理の専門家として位置づけられているので、心理検査や発達検査などのアセスメントをして心理査定レポートを書くことができます。例えば移民局や裁判所に資料として提出する書類は、サイコロジストでなければ書けないことがほとんどだと思います。
例えば大工さんのようなことをできる資格の種類として、豪にはビルダー、カーペンター、ハンディマンがありますね。ビルダーが最も資格がとれるまでの要件が厳しく、またやっていい範囲も広いのだと思いますが、サイコロジストは建築で言えばこの最上位のビルダーと同等のようなもの、とご説明できると思います。
だからMedicareは、資格要件の厳しい、高い専門性が認められるサイコロジストしかカバーしないのです。
しかしサイコロジストの守備範囲は心の病理的な分野に限られるかと言うと、けっしてそんなことはありません。確かに、心理についての高い専門性が認められているために、医師と連携して仕事をすることは多いです。病院臨床をやっていれば、そのような病理の深い患者さまに会うことが多くなるでしょうが、開業臨床の場合、ちょっとした悩みやブレイクダウン、また進路やさらに良い関係を求めて、といったクライエントが大半です。精神構造としてはとても健康な方だけれど、最近のストレスやトラウマを乗り越えるために…といった方がとても多いです。
心の病理の深い人がサイコロジストに会いに行き、もっと一般的な問題なら他の資格の人の所に行く??という振り分けのイメージについては、明白に「それは誤解です」と言いたいです。だって事実ではないのですから。
サイコロジストは研修期間が長いですから、病院臨床の中でよくお会いするような病理の深いクライエントについても経験はあります。そのような方についても守備範囲にできることが多いとも言えます。しかし、病理の深い方だけの専門、ではありません。正確には「病理の深い方から健康度の高い方まで守備範囲が広く、経験が多い」のです。
また私自身は、自分のことをカウンセリング・サイコロジストだと思っています。私自身が一番好きで得意分野だと思っているのは、非構造的で、共感的なカウンセリングです。もちろん認知行動療法やさまざまなスキルを、クライエントの必要に応じて応用しますが、治療的人間関係は、そこからしか発展していかないことが身にしみているからです。クライエントの方に役立ちそうなことは何でも提案して、取り入れられるものは取り入れていこう、といったスタンスですね。そして何よりも、その方の思いを共感して聞くカウンセリングにその足場を置いています。
大学院を出てから、私のキャリアはずっとこの分野、心理臨床で、カウンセリングの経験は非常に長く、すでに20年以上になってきました。日本でも臨床心理士の資格を持ち、働いた経験があるので、日本人の心にありがちな問題にずっと関わっていますし、豪に来てからのこの十年では、在豪邦人の心にありがちな問題について経験が長くなって来ました。
もちろんカウンセリングは人間関係ですから、人と人との相性がありますね。それは間違いのないことです。私自身は、自分がクライエントだったらこういう風に扱ってもらいたい、こういう風には扱って欲しくないという自分の感覚を何よりも大事にしたいと思います。臨床家本人が自分自身の問題を持ち、クライエントを丁寧に扱えない、またはむしろ傷つけてしまうという残念な事例を、長い心理臨床人生の中で、正直見聞きしたことも多々あります。そうはなりたくない、援助するということは一体どういうことなのかという難しい問いを、常に問題意識として持っていたいと思っています。
臨床家を選ぶ際には
*資格が何か
*臨床経験の長さ
*保険カバーの有無や費用面
*アクセスしやすさ(クリニックの場所)
*その方の持ち味や相性
などをポイントに、ご自分のその時のニーズにあった所を選ぶことをお勧めします。
そのためにはまず電話で気軽に問い合わせて、以上の点について質問をしてみる(特に、私だったら経験の長さについて納得した上でカウンセリングを受けるというのは重要なポイントです)、またその方の雰囲気を確かめてみることが大事だと思います。
お電話での問い合わせ、歓迎です。お気軽にお電話くださいね。敷居はか~なり低かったことに、気づいていただけるのではないでしょうか。